
マルチチャンネルのバッキングトラックを作れば、演奏者にクリックを届け、イヤモニとPA卓それぞれに専用のミックスを送り、ステムと映像に完璧に同期して演奏できます。Visibox(3.5以降)はマルチチャンネル音声とステムの自動結合に標準で対応しているので、マルチトラックのミックスを準備して本番で使うのも簡単です。このレシピでは、DAW(デジタルオーディオワークステーション)でのステムの準備、オーディオインターフェースの設定、Visiboxでのステムのマルチチャンネルファイルへの結合、そしてVisiboxをマルチチャンネルモードに切り替えて各ステムをそれぞれの出力から出す方法を紹介します。
材料
- Visibox 3.5以降:バージョン3.5で、マルチチャンネル再生とステムの自動結合が導入されました。
- マルチチャンネル対応のオーディオインターフェース(MacまたはWindows):ミックスに必要な数の出力が必要です。Visiboxは最大8チャンネルまでルーティングできます。Macではすべての出力が自動で認識されますが、Windowsで8チャンネルすべてを使うには7.1サラウンドの設定が必要です。
- DAW(デジタルオーディオワークステーション):各ステムを個別のモノラル/ステレオのオーディオファイルとして書き出すのに使います。非圧縮(WAV/FLAC)でも圧縮(AAC/MP3)でも使えます。
- 曲のステム:たとえば、ドラマー用のクリック、ほかのメンバー用のクリック、ステレオのキーボード、ステレオのバッキングボーカルとエフェクトなど。再生したい順番にアルファベット順で並ぶよう、ファイル名を付けておきます。
- USBまたはADATケーブル:マルチチャンネルのインターフェースやデジタルミキサーをコンピューターにつなぎます。
- (任意)動画クリップ:トラックと同期した映像が欲しいなら、ステムを結合するときに動画ファイルも含めます。
道具
- Visibox(ソフトウェア):MacとWindowsに対応。ステムの結合、マルチチャンネルファイルの再生、映像のコントロールに使います。マルチチャンネル機能を使うには、有料のProプランが必要です。
- オーディオインターフェースの設定ツール:たいていインターフェースに付属しています。出力の割り当て(たとえばADATチャンネル1〜8のルーティング)に使います。Behringer X32やXR18など、多くのデジタルミキサーはUSBで接続するとマルチチャンネルのインターフェースとして使えます。
作り方
ステップ1:ステムを準備して書き出す
- DAWで、各ステムを個別のモノラルまたはステレオのファイルとして書き出します。たとえば、ドラマー用のステレオのクリック、ほかのメンバー用のステレオのクリック、ステレオのキーボードミックス、ステレオのバッキングボーカル/エフェクトミックスです。この4つのファイルが、8チャンネルのマルチチャンネルファイルになります。サブミックス(ドラム、ベース、ギターなど)を作っている場合は、サブミックスのチャンネルを選んで一度にまとめて書き出せることもよくあります。
- オーディオインターフェースに並べたい順番になるよう、ファイル名に数字やアルファベットを付けます。
01 Click Track Drums、02 Click Track Band、03 Keyboards、04 Backing Vocalsのような命名がおすすめです。 - 書き出したファイルを、アクセスしやすいフォルダーにコピーします。
ステップ2:マルチチャンネルのインターフェースを設定する
Mac
- オーディオインターフェースをMacにつなぎます。Visiboxはマルチチャンネルのインターフェースを自動で認識します。Visibox › 設定 › オーディオ出力を開き、リストからインターフェースを選びます。
Windows
- インターフェースのドライバーをインストールし、設定 › システム › サウンド › サウンドの詳細設定を開きます。
- オーディオインターフェースを選び、構成をクリックします。
- 構成ウィンドウで7.1サラウンドを選び、8つの出力をすべて有効にします。
- インターフェースや7.1サラウンドが表示されない場合は、ドライバーが最新か、インターフェース側の設定ソフトでマルチチャンネル出力になっているかを確認してください。
ステップ3:Visiboxでステムを結合する
- Visiboxで曲を開くか、新しく作ります。
- 次の3つの方法のどれかでステムを紐づけます。
- 曲を右クリックしてオーディオを添付するを選び、ステムのファイルをすべて選択します。
- ファイルブラウザーから、コントローラーウィンドウの曲の上へステムのファイルをまとめてドラッグします。Visiboxに結合する意図が伝わるよう、すべて一度にドラッグしてください。
- ファイルブラウザーからファイルをコピーして曲にペーストします。
- Visiboxが結合の確認を求めるので、OKをクリックします。指定した順番ですべてのステムを含むマルチチャンネルのオーディオファイルが生成されます。曲には、マルチチャンネルのオーディオが紐づいていることを示す、3つの円が重なったアイコンが表示されます。
ステップ4:マルチチャンネル再生モードに切り替える
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コントローラーウィンドウの上部にある出力メーターを探します。
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出力メーターの横にあるアイコンを右クリックして、マルチチャンネルを選びます。Visiboxには3つの出力モードがあります。
モード
動作
使いどころ
モノラル
デュアルモノ(チャンネル1と2に同じ信号)で出力します。ステレオの音源はモノラルにダウンミックスされ、マルチチャンネルの音声は全チャンネルをまとめてモノラルにダウンミックスされます。
PA卓やモニターにモノラルの信号を送りたいときに。
ステレオ
インターフェースのチャンネル1〜2を使います。マルチチャンネルの音声は、奇数チャンネルを左、偶数チャンネルを右にしてステレオにダウンミックスされます。
インターフェースに出力が2つしかないときに便利です。
マルチチャンネル
ファイルの各チャンネルを対応する出力へ送ります。ダウンミックスは行いません。モノラルのファイルは1〜2でデュアルモノ、ステレオのファイルは1〜2でステレオとして再生されます。
ステムを別々の出力(クリック、イヤモニのミックス、PA卓など)へ送りたいときに使います。
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マルチチャンネル再生が有効で、ファイルが3チャンネル以上を含む場合、Visiboxはチャンネルごとのピークレベルを示すマルチチャンネルメーターを表示します。インターフェースの出力数がファイルのチャンネル数より少ない場合、「余った」チャンネルは枠線だけのメーターで表示されます。
ステップ5:再生してミックスをルーティングする
- 再生を始めます。各ステムが割り当てた出力から出てきます。たとえば、チャンネル1〜2はドラマーのイヤモニにクリックを、3〜4はバンド用のクリックを、5〜6はキーボードをPA卓へ、7〜8はバッキングボーカルとエフェクトを送ります。
- オーディオインターフェースのルーティングソフト(またはハードウェアのパッチ)で、各出力をモニター、イヤモニの送信機、PA卓など、適切な行き先へ送ります。
応用
- ステムを動画クリップと結合する:ステムと一緒に動画ファイルを追加すると、Visiboxが結合するかどうかを尋ねます。結合したファイルは動画を再生しながら、各オーディオチャンネルをそれぞれの出力へ送ります。音声ミックスを分けたミュージックビデオや歌詞動画に便利です。
- 既存のマルチチャンネルファイルを使う:5.1や7.1のオーディオファイルがすでにあるなら、曲にドラッグするだけです。Visiboxが使えるすべての出力にチャンネルを振り分けて再生します。ファイルのチャンネル順がインターフェースのルーティングと合っているか確認し、合っていなければルーティングを調整してください。
- 制限事項:Visiboxが現在対応している出力は最大8チャンネルです。8チャンネルを超えるファイルを再生または結合しようとするとエラーが表示されます。(対応に取り組んでいます!)
盛り付けの提案とヒント
- モニターミックスを分ける: チャンネル1〜2は楽器なしのドラマー専用クリック、3〜4はほかのメンバー向けの控えめなクリックとキュー、残りの出力は楽器とバッキングボーカルに使います。演奏者は必要な音だけをしっかり聴けて、PA卓にはクリーンなミックスが届きます。イヤモニをモノラルにすれば、個別のミックスをもっと多く扱えます。楽器のトラックもモノラルにすれば同様です。
- ケーブルを色分けしてラベルを付けると、どのチャンネルがどの楽器やモニターにつながっているかがひと目でわかります。リハーサルでは、Visiboxのマルチチャンネルメーターで各ステムが意図した行き先へ届いているか確認しましょう。
- 出力が限られた会場に備えてダウンミックスモードも試しておく: 2チャンネルのインターフェースしかない場合は、ステレオかモノラルモードを選べば、マルチチャンネルのステムが正しくまとめられます。
- 整理整頓: ステムの名前の付け方を統一し、マルチチャンネルファイルはプロジェクト内の専用フォルダーに保存しましょう。Visiboxはアルファベット順でステムを結合するので、あらかじめ番号を振っておけばチャンネルの順番を正しく保てます。
- システムサウンドは分ける: Visiboxは外部インターフェースを使い、macOSやWindowsの通知音は内蔵スピーカーから出るようにしておきましょう。
まとめ
Visiboxを使えば、本格的なマルチチャンネルのバッキングトラックも簡単に作れます!DAWでステムを準備し、インターフェースを設定し、Visiboxの中でステムを結合して、マルチチャンネル再生を選ぶだけ。できあがるのは、各ステムをそれぞれの出力へ送る1つの曲ファイルです。次のライブで、クリック、イヤモニのミックス、PA卓でミックスできるバッキングトラックを届けるのにぴったりです。


